前回少し触れたホイールのインチアップ(重量化)について考えてみましょう・・・
と思ったのですが、パラメタが複数変わってしまってめんどくさいので同じインチ数で重さだけ違うホイールの違いを考える事にします。
(比較実験する時には変化させるパラメタは1つにするのが基本ですし・・・同じホイールでタイヤの重さが変わった時にも応用が可能です。)
考察に使用するモデルはセニックフェーズ2RXT。タイヤ&ホイールは
1.重いホイール(11kg)+タイヤ
2.軽いホイール( 8kg)+タイヤ
重量差は1本あたり3kg、4本で12kgとします。
タイヤサイズは195/60R15(外経615mm:ミシュランHPより)両方とも同じ銘柄を選択。
E = (Iω^2)/2
いきなりですが回転体の運動エネルギを求める式です。
E:エネルギ
I:慣性モーメント
ω:角速度
です。
なんでそうなるかは下の方のリンク先を参考にしてください。
で、この式からある速度で回転している各ホイールの持つエネルギを比較する事により、どれだけ違いがあるのか比較してみましょう。
※要するに同じ速度まで「ホイールを加速するのに使ったエネルギ」≒「回転体(ホイール)の持つ運動エネルギ」と相変わらずおおざっぱに仮定。
(ほんとは双方の加速に要したエネルギ値を積分して、その差を求めるのが正解ですけど、積分するのがめんどくさいのでMantisさんからのご指摘にて削除、過程で正解。
停止中のタイヤは回転していないので運動エネルギーは当然0です。
40km/hで回転しているタイヤを考えてみましょう。
タイヤの角速度は・・・
タイヤの外周は0.615m * π(3.14) = 1.931m
Q.セニックの純正タイヤは時速40km/hの時、毎秒何回転してますか?
A.40,000m / 1.931m / 3600s = 5.754rps案外少ないですね・・・
ω = 2πf
f:回転数
からω = 2 * π(3.14) * 5.754rps = 36.135rad/s
角速度が出た所で、慣性モーメントを求めなければ・・・
I = GD^2 / 4
また訳のわからん式が・・・とお思いでしょうが我慢してくださいm(_ _)m
直径がr、長さがL、密度がdの円柱が自身の中心軸で回転する場合のGD^2は以下のような式になります。
GD^2 = π * d * r^4 * L / 8
考察するホイールとタイヤで考えると、タイヤ部分は同じ物なので相殺出来るものとしてしまいホイール部分のみを考えます。
モデルを単純化して直径15インチ・厚さが195mmの円筒としてみます。
体積はπ(3.14) * 0.195m * (15inch * 0.0254m / 2)^2 = 0.0222205201m^3
密度は
1.の重い方が11kg / 0.0222205201m^3 = 495.037918kg/m^3
2.の軽い方が 8kg / 0.0222205201m^3 = 360.027576kg/m^3
先ほどの式から
1.のGD^2は π(3.14) * 495.037918kg/m^3 * (15inch * 0.0254m)^4 * 0.195m / 8 = 0.7983855
2.のGD^2は π(3.14) * 360.027576kg/m^3 * (15inch * 0.0254m)^4 * 0.195m / 8 = 0.5806439
慣性モーメントは
1.は0.7983855 / 4 = 0.199596375
2.は0.5806439 / 4 = 0.145160975
やっとこさエネルギ量の計算です。40km/hで回転しているホイールの持つ運動エネルギは・・・
1.の運動エネルギは(0.199596375 * (36.135)^2)/2 = 130.310308J(ジュール)
2.の運動エネルギは(0.145160975 * (36.135)^2)/2 = 94.7711169J
その差は35.5391911J
4本で23.692783J * 4本 = 142.156764J
どのくらいの差か全然判りませんね・・・
1ジュールの定義は。
1 ジュール = 1 N · 1 m = 1 ニュートン・メートル = 1 kg · m2 · s-2
1 ジュール = 1 C · 1 V = 1 クーロン・ボルト
1 ジュール = 1 W · 1 s = 1 ワット秒
1秒間に約142ワットのエネルギって?やっぱりよくわかりませんね。
そこで、1グラムのガソリンを燃焼させたときに放出されるエネルギを調べると、50kJとなってます。
1秒間に1gガソリンを噴射しているかは判りませんが、1時間アイドリングして3.6L消費するのなら妥当な値?
50,000J・・・ガソリンが燃焼して取り出されたエネルギの内どのくらいが使われるのか判らないのですが、この内10%しか車を動かす事に使われないとしても142.156764Jなので、今回計算したホイールの重量差なんてその中の3%にも満たない(実際には加速の時にはアクセル踏むのでもっと小さい割合)という事で、やっぱり誤差でしかないって事ですね。
純正鉄ホイールの方、アルミホイールに替えてもそれほど差は無さそうです・・・
軽量ホイールに替えて車が軽くなったという方、気合い入りすぎ(以前よりアクセル踏みすぎ)です・・・そんなに大差はありません。
かえって軽量ホイールに交換する事のデメリットが・・・以下自粛
本当に燃費が良くなる(加速が良くなる)んだったら、メーカーも燃費向上の為に何億もかけてエンジンの省燃費技術を研究開発する前に全車アルミホイール標準にしてしまいますって(^^;
そのほうが量産効果でアルミホイールも安くなるし・・・
この考察は加速とか燃費に関するであろう項目についてだけで、路面追従性とか乗り心地は全く別の考え方になります・・・
ホイール替えたら明らかに違いがあったという方、メーカーは装着される純正タイヤ&ホイールの重量を最初から設定してサスペンションを設計していますので、そこから外れる事による乗り心地の変化が一番効いていると思われます・・・(当然、メーカーの想定した絶妙なバランスは崩れる訳ですけど・・・)
参考リンク
回転運動 運動エネルギー 剛体の回転 インチアップの美学(爆)by嗚呼、オーベルジュへの道
※思いつき&酔っぱらった勢いで書いたので検算していません。間違いがあったらご指摘下さいませ。m(__)m
追記:Mantis様のご指摘で一部修正。ありがとうございました。
マフラー交換で馬力アップ?!・ローダウンすると運動性能は本当に良くなるのか?!・サスペンションの硬軟とグリップの相関関係?!等外にもアフターパーツ愛好家にはヤバ目なネタも有りますが・・・
はたして今後もシリーズとして続くのか?!(笑)
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