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2006.05.07

車に関する物理2 ホイールの軽量化?!

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前回少し触れたホイールのインチアップ(重量化)について考えてみましょう・・・
と思ったのですが、パラメタが複数変わってしまってめんどくさいので同じインチ数で重さだけ違うホイールの違いを考える事にします。
(比較実験する時には変化させるパラメタは1つにするのが基本ですし・・・同じホイールでタイヤの重さが変わった時にも応用が可能です。)

 

考察に使用するモデルはセニックフェーズ2RXT。タイヤ&ホイールは
1.重いホイール(11kg)+タイヤ
2.軽いホイール( 8kg)+タイヤ
重量差は1本あたり3kg、4本で12kgとします。
タイヤサイズは195/60R15(外経615mm:ミシュランHPより)両方とも同じ銘柄を選択。

 

E = (Iω^2)/2
いきなりですが回転体の運動エネルギを求める式です。
E:エネルギ
I:慣性モーメント
ω:角速度
です。
なんでそうなるかは下の方のリンク先を参考にしてください。

 

で、この式からある速度で回転している各ホイールの持つエネルギを比較する事により、どれだけ違いがあるのか比較してみましょう。
※要するに同じ速度まで「ホイールを加速するのに使ったエネルギ」≒「回転体(ホイール)の持つ運動エネルギ」と相変わらずおおざっぱに仮定。
(ほんとは双方の加速に要したエネルギ値を積分して、その差を求めるのが正解ですけど、積分するのがめんどくさいのでMantisさんからのご指摘にて削除、過程で正解。

 

停止中のタイヤは回転していないので運動エネルギーは当然0です。

 

40km/hで回転しているタイヤを考えてみましょう。
タイヤの角速度は・・・
 タイヤの外周は0.615m * π(3.14) = 1.931m
  Q.セニックの純正タイヤは時速40km/hの時、毎秒何回転してますか?
  A.40,000m / 1.931m / 3600s = 5.754rps案外少ないですね・・・
ω = 2πf
f:回転数
からω = 2 * π(3.14) * 5.754rps = 36.135rad/s

 

角速度が出た所で、慣性モーメントを求めなければ・・・
I = GD^2 / 4
また訳のわからん式が・・・とお思いでしょうが我慢してくださいm(_ _)m
直径がr、長さがL、密度がdの円柱が自身の中心軸で回転する場合のGD^2は以下のような式になります。
GD^2 = π * d * r^4 * L / 8

 

考察するホイールとタイヤで考えると、タイヤ部分は同じ物なので相殺出来るものとしてしまいホイール部分のみを考えます。
モデルを単純化して直径15インチ・厚さが195mmの円筒としてみます。
体積はπ(3.14) * 0.195m * (15inch * 0.0254m / 2)^2 = 0.0222205201m^3
密度は
1.の重い方が11kg / 0.0222205201m^3 = 495.037918kg/m^3
2.の軽い方が 8kg / 0.0222205201m^3 = 360.027576kg/m^3

 

先ほどの式から
1.のGD^2は π(3.14) * 495.037918kg/m^3 * (15inch * 0.0254m)^4 * 0.195m / 8 = 0.7983855
2.のGD^2は π(3.14) * 360.027576kg/m^3 * (15inch * 0.0254m)^4 * 0.195m / 8 = 0.5806439

 

慣性モーメントは
1.は0.7983855 / 4 = 0.199596375
2.は0.5806439 / 4 = 0.145160975

 

やっとこさエネルギ量の計算です。40km/hで回転しているホイールの持つ運動エネルギは・・・
1.の運動エネルギは(0.199596375 * (36.135)^2)/2 = 130.310308J(ジュール)
2.の運動エネルギは(0.145160975 * (36.135)^2)/2 = 94.7711169J

 

その差は35.5391911J
4本で23.692783J * 4本 = 142.156764J

 

どのくらいの差か全然判りませんね・・・
1ジュールの定義は。
1 ジュール = 1 N · 1 m = 1 ニュートン・メートル = 1 kg · m2 · s-2
1 ジュール = 1 C · 1 V = 1 クーロン・ボルト
1 ジュール = 1 W · 1 s = 1 ワット秒

 

1秒間に約142ワットのエネルギって?やっぱりよくわかりませんね。

 

そこで、1グラムのガソリンを燃焼させたときに放出されるエネルギを調べると、50kJとなってます。
1秒間に1gガソリンを噴射しているかは判りませんが、1時間アイドリングして3.6L消費するのなら妥当な値?
50,000J・・・ガソリンが燃焼して取り出されたエネルギの内どのくらいが使われるのか判らないのですが、この内10%しか車を動かす事に使われないとしても142.156764Jなので、今回計算したホイールの重量差なんてその中の3%にも満たない(実際には加速の時にはアクセル踏むのでもっと小さい割合)という事で、やっぱり誤差でしかないって事ですね。

 

純正鉄ホイールの方、アルミホイールに替えてもそれほど差は無さそうです・・・
軽量ホイールに替えて車が軽くなったという方、気合い入りすぎ(以前よりアクセル踏みすぎ)です・・・そんなに大差はありません。
かえって軽量ホイールに交換する事のデメリットが・・・以下自粛

 

本当に燃費が良くなる(加速が良くなる)んだったら、メーカーも燃費向上の為に何億もかけてエンジンの省燃費技術を研究開発する前に全車アルミホイール標準にしてしまいますって(^^;
そのほうが量産効果でアルミホイールも安くなるし・・・

 

この考察は加速とか燃費に関するであろう項目についてだけで、路面追従性とか乗り心地は全く別の考え方になります・・・
ホイール替えたら明らかに違いがあったという方、メーカーは装着される純正タイヤ&ホイールの重量を最初から設定してサスペンションを設計していますので、そこから外れる事による乗り心地の変化が一番効いていると思われます・・・(当然、メーカーの想定した絶妙なバランスは崩れる訳ですけど・・・)

 

 

 

参考リンク
回転運動 運動エネルギー 剛体の回転 インチアップの美学(爆)by嗚呼、オーベルジュへの道

 

※思いつき&酔っぱらった勢いで書いたので検算していません。間違いがあったらご指摘下さいませ。m(__)m
追記:Mantis様のご指摘で一部修正。ありがとうございました。

 

マフラー交換で馬力アップ?!・ローダウンすると運動性能は本当に良くなるのか?!・サスペンションの硬軟とグリップの相関関係?!等外にもアフターパーツ愛好家にはヤバ目なネタも有りますが・・・
はたして今後もシリーズとして続くのか?!(笑)

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コメント

ホイールの回転エネルギーも、車自体の並進運動の運動エネルギーも、両方とも速度の2乗に比例するので、ホイールの回転エネルギーと並進運動の運動エネルギーの比は常に等しいです。

滑らずに転がっている均一円板の回転運動エネルギーが並進運動エネルギーの1/2になるのは、計算すればすぐに出てきます。

ということは、ホイール4本で12kgの軽量化は、並進運動分も合わせて、ばね上18kgの軽量化と同じってことですね。どっちにしろ、たいしたことないって言う結論には変わりないので、計算ミスについては指摘しませんが、ひとつだけ、私は工学畑の重力単位系について無知なのですけど、少なくともSIでは回転運動エネルギーは E = (Lω^2)/2 ですね。(Lがイナーシャです)

Mantisさん

いらっしゃいませ。

>滑らずに転がっている均一円板の回転運動エネルギーが並進運動エネルギーの1/2になるのは、計算すればすぐに出てきます。

高校の物理の授業で習った記憶がうっすらと・・・

はははー・・・頑張って計算したんですけどねー(^^;
間違ってる所を後学の為に、教えていただけると嬉しいです。

他の読んでる方も気になるでしょうし・・・

工学畑の重力単位系・・・普通にSI単位系で良いと思われます・・・某T社で設計やってる従兄弟の話ですが。
ご指摘いただいたE = (Iω^2)/2に関連する所は公式の転記ミスでしたので修正しました。m(_ _)m

じつは、専門は情報工学で、物理は教養課程以来ご無沙汰って人なんです・・・
それでも今はネットで探せばそれらしい公式とか見つけられるので、素人でも車好きなら怪しいうわさ話に踊らされずに少しでも自分で何が正しいかと考える元になればいいなーってこんな事をネタにしてます。

お初です。
ちょっと考え方に訂正を・・・(^_^;)

計算ご苦労様です。
僕はやめて5年も経つと計算式もすぐにでてこなくなってますw

ホイルの違いをジュールで計算してますが、
単純に転がり抵抗の違いでださないと、
正しい違いはでません。

というのは加速のときは走行抵抗のうちの多くを加速抵抗が占めますが、
一定速度で走行のときは転がりや空気抵抗が走行抵抗の大部分を占めます。

ホイル・タイヤのモーメント力は重量の一部と計算できるので、
加速のときはエンジンの出力に対して>>>少となりますが、
一定速度で走行のときはエンジン出力が小さいので、
ホイル・タイヤのモーメントは上記の計算式と異なり、大きな割合になります。

ゆえに燃費に対する影響は運転の仕方によっては、
かなり大きい影響を与えます。

だからメーカーも車の使われ方とホイルのコストと燃費を見比べて、
どういうホイルを標準にするかを決めますね。

いえいえ、計算ミスってほどのものではないですよ。計算式中盤で、軽いほうのホイールの質量が 8kg から 9kg になってるっていう、そのくらいです。

それから、エネルギーについては積分する必要はありません。積分しないで済むのがエネルギーのいいところなので (^-^)

>うえうえさん
はじめまして。Mantisと申します。転がり抵抗は、タイヤブロックの不可逆な変形によるものなので、ホイールのイナーシャとは直接関係せず、おおよそ面荷重に比例するはずです。そうすると、4本あわせて10kg軽量化されても、車体全質量から考えると1%以下となり、やっぱり燃費にはそれほど影響しないのではないかと思われますが。

>再びwuaさん
細かいギャップを乗り越えたときなどの挙動、特に、コーナリング中にタイヤが路面に追従しないためにトラクションが抜けてしまうことを抑えるためには、ホイールの重量軽減はかなり大きな効果はあると私は考えています。
サスペンションを、車体上屋の挙動を最適化する設計をするためには、良好な路面を走っているときにはばね下重量はほとんど関係ないはずです。だから、タイヤのジオメトリーが変わらなければ、ホイールの軽量化は乗り心地の悪化は及ぼさないのではないでしょうか。

うえうえさん

どもども。
お初ではないですよー
最後にお会いしたのがいつだったか忘れてしまうほど昔ではありますが・・・
カエル4のチャンネルも愛読してますよ。

今回のは加速に絞って考えてます。
一定速度での走行に関しては、今回仮定に使った40km/hとOかべさんやAべさんの巡航速度域では転がり抵抗の増大分より空気抵抗の増大分が全然違ってきて統一して計れないのではと思ってしまいますが・・・?
間違ってたらご指摘下さい。

P.S.今度、T1にいらっしゃるときにはご連絡いただければ迎撃しに行きますです。


Mantisさん

ありがとうございます。
さっそく修正しました。m(_ _)m

>エネルギーについては積分する必要はありません。積分しないで済むのがエネルギーのいいところなので。

なるほど、エネルギー保存ですね。

>ホイールの軽量化は乗り心地の悪化は及ぼさないのではないでしょうか。

これについては本文にも書きましたように、メーカーの想定しているホイール&タイヤの重量の範囲から逸脱するとあまり宜しくないのではと考えております。
そのあたりはうえうえさんが詳しいと思います。(と振ってみる)
それと、軽量ホイールの耐久性に疑問を持っておりまして、最近のサイドウォールの薄いタイヤで軽量ホイールではあっという間に歪んでしまって真円度って何?状態になるのではないかと・・・
(純正アルミホイールが重いのは耐久性のためだと思っています。)

なんだか不躾で申し訳ありませんです。

ホイールの耐久性については私もとても不安に思っています。。特に、鋳造の軽量ホイールなんてほんとに大丈夫なんかいって思ってしまいます。

わたしの住んでる岐阜県は、舗装が荒れている路面が多いため、コーナーのギャップで跳ねたとたんにグリップが抜けてしまうというのは、実はとても大きな問題なのです (T-T)

Mantisさん

転がり抵抗係数はおっしゃるとおりですが、
実際の転がり抵抗は重量に比例して、
ホイールのみかけ重量もモーメント力が働くことにより増加します。

wuaさん

お初というのはここでですよ(^.^)
会ったのは鈴鹿が最後ですね。
トは6月2日に行きますよ。

加速だけですか・・・
燃費を考えるときは「どういう走行パターンか?」ですね。
空気抵抗と転がりが燃料消費に占める割合を考えると、
高速道路を法定速度付近で7~8割、一般道60走行で約4割。

重量が関係する加速と転がりがどういう走行方法で大きな割合を占めるかを考えないと、
燃費に影響あるかどうかは言えません。

追伸

ホイールの重量ですが、wuaさんのいうとおり、コストと耐久性で決まってます。
安い軽量ホイールは耐久性や真円度が×ですね。

最近はストラット等のダンパーが剛性部品のひとつになっているサスペンションは
サスペンションユニット全体がモジュール設計されてるので、
ホイールの重量を大きく変えるのはおすすめしません。

Mantisさん:

>なんだか不躾で申し訳ありませんです。

いえ、こちらこそこんなどうでもいいブログを見に来ていただいた上、真面目にご指摘いただけてこちらが恐縮してしまいます(^^;

>ホイールの耐久性

まったく怪しいと思います。
うえうえさんが書かれたように最初からダメなホイールも平気で売られてますし・・・

>コーナーのギャップで跳ねたとたんにグリップが抜けてしまうというのは、実はとても大きな問題なのです (T-T)

そんな方には・・・
http://oldpine.blog.ocn.ne.jp/auberge/2005/06/post_2611.html
なんてどうでしょう。

うえうえさん:

忘れられてしまったのかと・・・(^^;

一定速より加速時こそ重量差が燃費(加速)に効いてくるはずと想像して計算してみたので・・・
(街に居るとほとんど加速してるか減速してるような感じと言うのもありましたし・・・)

実際に一定速の時にホイールの重量差はどのぐらい効いてくるんでしょうか?

PS.6月2日はすぐ帰ってしまいます?

ふつうのセダンでホイールの重量差が車両重量の1%くらいの場合は、
一般道走行ならおおよそ1~2%くらい燃費に効くと思います。
タイヤや車の形でも数値は大きく変動するので、
正確な数値はでません(^_^;)

トラックでの実験値ですが参考に
但し数値はこれの半分くらいが本当の所でしょう
http://www.alcoa.com/alcoawheels/japan/jp/info_page/fuel.asp

そうそう追記として同じ強度でホイール作ると
鉄の方が重量は軽くなります。

6月2日は3時くらいから夜までいると思います。

>wuaさん
推奨空気圧が高すぎるというのは感じています。まあ、底付きしないためのマージンをだいぶ取っているのと、「燃費悪いじゃないか!」と言われるのを恐れてのことだと思いますが。
空気圧が高いと、ズルっといく前の前兆も分かりにくいし、いいことありませんよね・・・

>うえうえさん
あまり目くじらを立てるのもなんなのですが、普通に「アルミ」というときのアルミ合金の場合、比強度(単位質量あたり強度)は鉄(鋼)よりアルミの方がずっと上です。

http://www.sankyoalumi.co.jp/us_al/al.htm

しかも、曲げ強度の場合、同一質量でより太い構造材を作ることのできるアルミに、スチール系材料は太刀打ちできません。
ただ、降伏点から破壊までが非常に短いアルミに比べ、スチールは降伏してからも破壊まで、非可逆な永久変形をしながらも耐えてくれるので、破壊まで含めればスチールのほうが強いかもしれませんが。

うえうえさん

それではやはり、町中では信号の繋がりや渋滞等による誤差の中に埋もれてしまう数値ですね・・・(^^;

6月2日、なんとかお会いできるよう日程調整してみます。


Mantisさん

私はエアゲージとポンプをいつも車に積んでしょっちゅう空気圧チェックしてます。ほんとに0.1kPaで乗り心地や挙動が変わります。
慣れると4輪5~6分で調整できますし。


両氏へ
アルミと鉄ホイール同じサイズ(15インチとか)で同じ強度でって可能なんでしょうか?
アルミは軽いけど強度出す為には厚みが必要でキャリパーに接触しないか心配になったりして・・・
デザインなんかでも強度が変わっちゃうと思いますが・・・(今までの経験だと、ホイールの種類毎に強度(と言うか弾性)が全然違うと感じているのですが)

体積あたりだとスチールのほうが強いです。Al-Mg-Zr-Sc 系の合金だと、体積あたりでもスチールに匹敵するものがあるのですが、いかんせん高い!

だから、同一デザインで比較するとスチールのほうが強いですね。

弾性に関して、wuaさんの指摘は正しいと思います。同じ強度のスチールとアルミ合金に同じ大きさの応力を加えたときの変形は、スチールのほうがずっと大きいのです(つまり、同じ強度であってもアルミの方が硬く、スチールは柔らかい。言葉を変えれば、アルミはあまり変形しないうちに逝く)。

スチールはしなやかでよく粘るため、いろいろな軽合金が開発された現在でも、スチールではないとダメというものもたくさんありますね。

うーむ、空気圧ですか。めんどくさがりの私にとって、燃費重視の普段走りと、ちょっと頑張って走りのあいだに空気圧調整をする余裕があるかどうかですね(苦笑)

ありがとうがざいます、もう少し早くにこの記事を見ておけばよかったです・・・
しかし、よけいでもテストをしたくなりますよ。
BBSに関してはホイールの形状がタイヤ内の空気容積にも関係してるのかも?

沼田タイヤ/クラ さま

沼田タイヤ様のような真面目なタイヤ屋さんがいらっしゃる事が嬉しくなってしまいます。

思考実験は大切ですが、実際に現物でテストする事はもっと大切です。

うちのチビにも本で読んだだけでは知っただけで、理解した事にならないから実践しろといつも教えております・・・

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